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2019-12-15

がん治療と就労の両立支援とは?―働き手を守る会社を創るためにー

日本人の2人に1人が生涯でがんになる

 

国立がん研究センターが2007年に発表した『がん対策情報センターによる推計値』では、男性の55.7%、女性の41.3%が生涯でがんに罹患すると報告されています。

 

最新の2019年がん統計予測では、約101万7千200例(男性57万2千600例、女性44万4千600例)のがん罹患数が予測されており、昨年2018年と比較すると男女計で約3,600例の増加が予測されていました。

 

厚生労働省が公開している年齢別の死亡順位(総数)を見ると、40代以上の死亡理由トップに悪性新生物(がん)が挙げられており、働き盛りの世代にとって特に注意しなければならない病気であることが分かります。

 

このような情報を見聞きすると、「がんは治らない病気なのでは?」と思ってしまうかもしれませんよね。しかし、医学は日々進歩しており、生存率も改善していることが明らかになっています。

以下に示す割合は、国立がん研究センターの調査結果に基づく現時点での結果です。

全がんの3年実測生存率は67.2%、5年生存率は58.6%となっており、以前の調査データと比較すると生存率が上昇したことが発表されています。

罹患した患者の年齢や治療方法、健康状態など様々な背景事情によって生存率は大きく変動することもあるため「生存率が上がった」という結論を出すにはまだ早いようなのですが、医学の進歩や個人に合わせた適切な治療が可能になったことで、がん治療の効果が少しずつ表れてきているのかもしれませんね。

 

従業員への責任:がん検診の徹底から個人に合わせた就労支援まで

ある専門家の意見によれば「早期発見・治療でがんの9割は治る」とのこと。

転移のない状態で発見・治療ができるのが理想です。

しかし、これを可能にするためには、定期的ながん検診が必要不可欠となります。

ここで2つの質問をしてみたいと思います。

 

  • がんの早期発見・治療の入り口になる

  「がん検診」を会社で実施していますか?

  • 従業員全員が「がん検診」を受診していますか?

  (確認できていますか?)

 

多くの企業では福利厚生の一環として、任意の「職場がん検診」を実施していることでしょう。しかし、未受診者の管理が徹底できている企業は少ないのが現状のようです。

がん検診の受診を徹底することは、従業員の健康を守るための取り組みと言えます。

 

社内にある制度を見直し、働き手の健康を守る支援方法を検討していく必要があるでしょう。まずは、がん検診の受診率を算出し、未受診者への積極的な呼びかけをしていくこともおススメです。これに加えて、がん検診はなぜ必要か、その理由をワークショップ等で周知し、社内で共通する正しい理解を深めていくことも、従業員の受診率を上げるのに役立ちます。

 

 

がんと仕事は両立できない?

 

ここでもう1つ、質問してみたいと思います。

 

  • あなたの会社では、がんに罹患した従業員へどのように対応されていますか?

 

従業員から病気や治療の相談を受けたとき、どのような支援をしているでしょうか。

従業員の意思を尊重できるような仕組みは整っているでしょうか。

 

「治るまでしっかり休んだらどう?」

「治療に専念した方がいいんじゃない?」

「治療と仕事の両立は大変だと思うよ?」

 

従業員の身体を心配するあまり、つい口に出してしまうこのような言葉も、がん患者本人にとっては重荷になることがあります。責任感の強い方ほど、思い詰めてしまいがちなのです。

 

がん診断後、就労者の約3割が依願退職を選んでいるという結果も報告されています。

 

 

事業主は、がん患者の雇用の継続等に配慮するよう努める

これは2016年12月に改訂された「がん対策基本法」のなかで明記されている言葉です。

 

まずは、がんに罹患した従業員が何を望んでいるかを明らかにしなくてはなりません。

 

・がん治療と仕事を両立したい

・体力的・精神的な理由から休職・退職したい

・一時的な休職をし、回復後に働きたい

・働き方(出勤時間や勤務方法)を変えながら、仕事を継続したい

 

当事者の様々な事情や想いを理解し、丁寧な支援をしていく必要があります。

心に寄り添う支援が求められています。

 

しかし、このような支援を社内の人員だけで行うのには限界があります。

日々の業務をこなしながら、がん治療と就労の両立支援のために時間を割くのは、現実的には難しいかもしれません。

 

 

両立支援をするために専門家の力を借りる:キャリアコンサルティング

治療と就労の両立支援を行う「キャリアコンサルティング」という分野があるのをご存知でしょうか?

キャリアコンサルタントは、働く意欲・能力がある人が治療と仕事の継続をしていくために必要な調整を行う役割を担います。当事者の意思を確認し、患者と家族、医療機関、行政機関、職場など、周囲との話し合いをスムーズに進めていけるように、様々な側面から支援を行うのです。ひとりひとりの心に寄り添い、個人が「キャリアの再構築」をしていけるようにサポートを行うのが、キャリアコンサルタントの使命です。

 

大切な従業員が離職を決断する過程に多様な不安や心配の渦の中、大きな葛藤を経験します。

それは制度や体制があっても、職場への迷惑や責任を鑑みて

「辞めたくないけどやめるしかない」、と思ってしまうことがあります。

そこに、第三者の新たな視点から本人の葛藤を丁寧に解きほぐすことで、

病気になった後もあなたの職場で働き続けられそうと納得感を持って

両立や復職に向けた行動を後押しするお手伝いをしております。

 

社内だけで進めるのが難しい両立支援に取り組む際は、キャリアコンサルタントに相談してみるのはいかがでしょうか?

 

 

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