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2019-12-16

両立支援は全国で始まっています!―働き続けてもらえる環境づくりの重要性―

以前は不治の病というイメージが強かった「がん」ですが、医療技術の発展もあり、がん患者の5年生存率は最新の集計(2019年12月)66.4%を記録しました。

がんの種類や発見されたステージによって細かく見ていくと、ステージ1で発見できた場合は生存率が高いことが分かります。ここで「胃がん」を例に挙げてみましょう。

「胃がん」におけるステージ全体の5年生存率は71.4%ですが、ステージ1(94.7%)、ステージ(67.6%)、ステージ3(45.7%)、ステージ4(8.9%)というように、早期発見ができた場合はかなり高い生存率となっていました。

患者本人の健康状態や治療との相性もあるため、すべてのケースでこのデータを当てはまることはできませんが、「がん」は確実に「治せる病気」または「治す方法のある病気」に近づいてきていることが分かります。

(国立がん研究センター がん情報サービスより)

 

 

がんとの向き合い方を考え直す

もしも突然「がん」と診断されたら・・・

「まさか自分が・・・どうして?」とショックを受けてしまうことでしょう。

働き世代にとって「がん」と診断されることは、今後の自分の人生設計を大きく狂わせてしまう重大な事件でもあるのです。

 

職場に迷惑がかかると思うと、誰に勧められたわけでもなく自らの意思で仕事を辞めてしまうケースも多く見られます。職場で上司や同僚に相談した際、「治療に専念したら?」と言われたことがきっかけで、離職を決意してしまうケースもあります。

 

厚生労働省では事業主に向けて、疾患を抱える従業員(がん患者など)の就業継続を支援するように呼び掛けています。(詳しくはこちら→

適切な治療によって働きながら治せる病気とみなされるようになった今、「がん」や「がん治療」との向き合い方を再考する必要があります。

 

がん治療と仕事の両立支援は企業にとって早急に取り組むべき課題です。すでに幾つかの企業が積極的な両立支援を実践しており、「治療しながら仕事を続ける」という考え方が少しずつではありますが日本全国にも広まりつつあります。しかし、まだ十分な体制が整っているとは言えません。具体的な支援方法についても悩んでいる企業の話を伺うことが増えています。

 

がんと治療の両立支援について知る

ここからは、両立に向けた職場の対応など参考になる動画を幾つかご紹介していきたいと思います。

東京都福祉保健局では、がん患者の治療と仕事の両立支援のための企業向け研修用教材を開発しています。「がん治療と仕事の両立~もしも、職場の誰かががんになったら~」というタイトルの映像教材では、両立支援の仕組みを整えようと考える企業が参考にしたい情報が詰め込まれています。

(東京都の教材一式は無料で閲覧できます→

 

研修ドラマでは、当初は同僚に伝えることを躊躇していた当事者が、職場の上司とよくコミュニケーションをとり、最終的には同僚にも自分も病状を伝える選択をしていました。治療で職場を離れる際の引継ぎなどを行い、助け合う体制ができている様子も描かれており、治療と仕事の両立支援をしていくうえでの理想的なチームワークが描かれています。しかし、実際の治療が始まるとなかなか思うようにいかなくなり、ギスギスした空気も漂い始めます。それと同時に上司も悩んでいる様子が描かれています。職場復帰した際の話し合いだけでなく、常日頃からのコミュニケーションが取れていないと両立支援は難しいことをドラマ仕立てで理解できる動画です。

 

・がんを宣告された当事者の悩み

・病気を告白された上司や職場の同僚たちの悩み

・働きながら治療を続ける際に生じる難しさ

・今までの働き方ができないことに対する悩み

・上司や仲間とのコミュニケーション

・状況に合わせた働き方の提案

 

など様々な状況を理解し、支援をしなくてはなりません。

 

 

職場での受け入れ環境が整っていなければ、がん患者にとって治療と仕事を両立させることは非常に難しくなります。がんを宣告された後、誰(上司・部下・同僚・顧客など)に報告をするのか、どこまで詳細情報を伝えるのかなど、当事者は悩んでしまうものなのです。

 

職場で相談しづらいと感じる場合は「産業医」や「産業保健スタッフ」、医療機関の「がん相談支援センター」で相談することもできるのですが、この情報を知らない場合は一人で悩み続けることになってしまいます。当事者だけの努力、上司だけの努力ではなかなか整えきれないのが、職場における治療と仕事の両立支援です。

 

働き続けるための工夫ができれば就労の継続は不可能ではありません。

がんと診断されたときに頼れる機関があることを、会社側もよく理解し、従業員にも外部から得られる支援制度を知らせておくことができるでしょう。

職場だけで抱え込まず、まずは相談してみるのはいかがでしょうか。

 

 

頼れる窓口に相談し、両立支援の体制を整える

国の体制の1つとして、地域の産業保健総合支援センターがあります。全国47都道府県に設置されています。会社に制度がない場合や対応に困った際に利用できます。

以下は、産業保健総合支援センターが対応してくれる内容を箇条書きにしたものです。

 

  • 患者や家族の相談対応
  • 人事労務担当者の相談対応
  • 管理監督者の両立支援教育
  • 職場の環境整備・助言
  • 職場と患者との調整支援

 

 

産業保健総合支援センター以外にも、下記の機関にて無料相談が可能です。

 

日本対がん協会のホットライン

 医療に関する様々な不安や心配を解消する際の拠り所となります。

03-3541-7830(予約不要)

■毎日(祝日・年末年始を除く)

午前10時~午後6時まで

■どなたでも利用可能

 

社会保険労務士による無料相談

社労士は、職場とのトラブルを解決するために適切な支援を提供することができます。

働き続けるにあたって利用可能な制度や障害年金など複雑な制度や労務上の相談できます。

 

◯キャリアコンサルタントによる

 日本キャリア開発協会の無料電話相談(日本キャリア開発協会)

治療と仕事の両立支援専門のキャリアカウンセラーに

直接相談をすることができます。

まずはホームページにアクセスし、お住まいの都道府県を選択。

電話相談の予約(午前・夕方・午後)を行います。

■平日 月曜日~金曜日 午前10時から午後7時まで(午後7時終了)

 

 

従業員を守れるのは、悩みを抱え込まない会社

従業員が本当に困ったとき、頼れる上司、頼れる会社でありたいですよね。

困ったときはお互い様という助け合いの精神は、両立支援をスムーズするためにも必要です。誰かが大変なときは、周りが協力しながら助け合う。仕事を継続したいと思っている当事者に対し、「あなたの代わりはいない」「戻ってくるのを待っている」としっかり言葉で伝えることも、がん患者本人にとっては励みになります。

 

会社として制度を整える際は、社内だけで解決しようとせず、ぜひ専門家を頼っていただいたいと思います。会社の悩みを抱え込まずに相談できる会社であれば、従業員からの相談にも柔軟な対応ができるはずです。

 

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