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2019-11-08

「がん」治療中の部下のためにできること②:支援に必要な知識を蓄える

今回は、上司の立場からできる部下(従業員)のための「両立支援」

に関する第二弾です。テーマは「支援に必要な知識を蓄える」。

いざというときのために知っておきたいポイントをまとめていきます。

(第一弾はこちら)

 

 

社内の休暇制度と勤務制度を把握する

 

がん治療と仕事の両立支援を適切に行うためには

「社内にどのような制度があるか」を把握しておく必要があります。

 

これに加えて、これまでに社内において

「治療と仕事の両立」を支援していた事例があるかどうか、

といった情報を入手しておくことも非常に役立ちます。

 

厚生労働省では

事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を公表しています。

事業場における・・・という表現からも分かるとおり、

企業内での両立支援に必要な情報が公開されています。

 

このガイドラインのなかには「両立支援に関する制度・体制等の整備」(pp.4-5)

という項目があり、休暇制度や勤務制度の例が挙げられていました。

 

ここから少し詳しく見ていきたいと思います。

下記に示すような制度が社内でどのように定められているかを調べておけば、

病気を打ち明け相談してくれた部下にとって、必要情報を提供することができます。

 

両立支援と関わる「休暇制度」について

 

休暇制度には、

「時間単位の年次有給制度」と「傷病休暇・病気休暇」があります。

 

時間単位の年次有給制度とは、

1日単位で与えられる有給が原則です。上限は決まっており、1年で5日分が認められています。

ただし、労使協定(=労働者と使用者の間で締結される書面による協定)を結べば、

1時間単位でこの制度を使えるようになります。

 

一方で、傷病休暇・病気休暇とは、

事業者(会社側)が自主的に設けることのできる休暇制度です。

 

先に挙げた年次休暇とは別に休暇を付与する制度であり、こちらは法定外の休暇となります。

この休暇の取得条件や取得中の賃金の支払い等の細かな処遇については、

事業者ごとに定めることができます。

 

 

両立支援と関わる「勤務制度」について

 

勤務制度は基本的に事業者(会社側)が自主的に設けることのできる制度です。

独自の制度を設けやすい分野とも言えるかもしれません。

 

様々な企業で取り入れられている制度には、

「時差出勤制度」

「短時間勤務制度」

「在宅勤務(テレワーク)」

などを挙げることができます。

 

時差出勤のメリットは、

個人の始業時間や終業時間を調整し、混雑する通勤時間帯を避けて通勤できることにあります。

 

短時間勤務のメリットは、

所定労働時間を短縮することによる負担減です。

 

在宅勤務は、

通勤による身体の負担を軽減し、自宅で勤務可能なことが最大のメリットです。

 

 

この他にも、ガイドラインのなかには「試し出勤制度」というものもあります。

これは長期療養による休業から復職をしようとする従業員を支援する制度です。

 

勤務時間や勤務日数を短縮し、試しに出勤をしてみるというこの制度は、

両立ができるかどうか不安に感じている従業員にとっても、

また復職する従業員の受け入れに不安を感じている会社側にとっても、

お互いに負担の少ない取り組み方といえます。

 

どのような支援が必要なのかを様子見しながら進めていくことができるので、

継続的な両立支援を行うための準備期間としても活用することができるでしょう。

 

 

休暇制度や勤務制度を提案・修正する

 

治療と仕事の両立支援は、企業全体で取り組まなくてはならない課題です。

先に挙げた両立支援のための休暇・勤務制度を見ても分かるとおり、

制度のほとんどは会社側が自主的に設けることができるようになっています。

 

社内で必要が生じた際は、新たな制度を設けることも可能なのです。

部下にとって必要とされる制度が不足している場合には、

人事労務担当者や産業医、従業員の雇用に関する権限を持つ部署などに、

相談することもできるかもしれません。

 

ただし、雇用の形態によっては会社側の支援が難しい場合もあります。

治療の必要な当事者が正社員として雇われていない場合、先に挙げた制度を

利用できないということもありえます。

 

しかし、上述の通り、休暇・勤務制度の多くは会社側が柔軟に決められるように

なっていますので、この場合も関係部署に一度相談してみるとよいでしょう。

 

 

当事者以外の従業員のケア

 

がんと診断を受けた当事者(部下)に休暇や休養が必要となった場合、

その部下が担っていた仕事は、同僚など他の誰かが負担しなくてはなりません。

 

仕事量だけで考えると「負担が増えてしまう」という印象を受けるかもしれませんが、

そのようなマイナスの空気を持ち込まないような工夫が必要です。

 

上司であるあなたが、「困ったときはお互い様」を常に意識して

声がけや指示出しをしていくことで、チームの雰囲気は自然とよくなっていきます。

 

治療や休養が必要な部下が携わっていた業務内容を把握し、

誰がどの程度分担できるのか、負担分のバランスなども踏まえたうえで、

その他の従業員と細かく打ち合わせする必要も出てくることでしょう。

一度決めた分担にこだわらず、実際の業務の遂行状況なども

適宜確認しながら修正することも必要になります。

 

上司としてできるフォローを継続するように心がけてみてください。

チームの中には、「闘病中の同僚のためにも、自分が頑張らなくては・・・」

と無理をしすぎてしまう部下もいるかもしれません。

 

ここでもやはり、上司としてのコミュニケーション力が問われます。

「困ったときはフォローし合う」「なんでも相談してみる」

という約束事を決めておき、話しやすい環境を整えましょう。

何か問題が生じたときはすぐに情報を共有し合うようにすることも役立ちます。

治療と仕事を両立しようとしている当事者以外のケアも、上司としての大切な仕事なのです。

 

 

 

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