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2019-11-10

大切な従業員のためにできること①:がん検診の制度化と正しい知識の必要性

会社にとって長年貢献してきた従業員は大切な存在です。

 

大切な従業員たちに「この会社でずっと働きたい」

と思ってもらえるような環境を社内に整備することは、

企業として早急に取り組むべき課題といえます。

 

 

今回は「職場環境整備」をテーマに、

会社のなかで整えるべき仕組みや制度について

考えていきたいと思います。

 

定期健康診断(法定検診)について

労働安全衛生法では、

事業者の責務として従業員に定期健康診断を提供しなければならない

ことが定められています。雇用されている従業員もこの検診を受ける

ことが義務となっています。ここでいう定期健康診断は「法定検診」

といわれるもので、検査項目は以下に示すようなごく一般的な内容です。

 

【定期健康診断等における診断項目】

既往歴や業務歴の調査・自覚症状及び他覚症状の有無の検査・身長(※)・体重・胸囲(※)・視力・聴力・胸部X線(※)・喀痰検査(※)・血圧・貧血検査(※)・肝機能検査・血中脂質検査(※)・血糖検査(※)尿検査(糖・蛋白の有無の検査)・心電図検査(※)

(※)は医師の判断により省略可。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000194701.pdf

 

ご覧いただいても分かるように、

ここには「がん検診」が含まれていませんね。

 

そこで、多くの企業では、上記の法定検診に「がん検診」をプラスして、

従業員の健康を守る取り組みを実施しています。

職場で実施されるがん検診は「職域におけるがん検診」と呼ばれるもので、

福利厚生の一部として任意で実施されるものとなります。

 

がん検診の制度化:必須の検査項目として取り入れる

厚生労働省では「がん検診」の項目で年齢別に必要なものを、

科学的根拠に基づき公表しています。

掲載されている情報をもとに、簡単な内容だけをまとめてみます。

※一部の自己負担でがん検診を受けられるのは以下の項目です。

 

【がん検診の種類と対象者】

 がん検診の種類

対象者

受診間隔

・胃がん検診

50歳以上

2年に1回

・子宮頸がん検診

20歳以上

2年に1回

・肺がん検診

40歳以上

年1回

・乳がん検診

40歳以上

2年に1回

・大腸がん検診

40歳以上

年1回

注.「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」で定められた市町村のがん検診の項目についてから一部抜粋。

 

 

上記の項目に関しては、

居住地のある市町村から「がん検診」の案内が送付されるので、

よく目にする内容かもしれません。

実際に利用されている方も多いことでしょう。

しかし、

案内を見てもそのままにしてしまう方も・・・

一定数おられるのが現状です。

 

企業としてきちんとした健康診断およびがん検診の仕組みを

整えておくことは、社内外にとってアピールポイントとなるはずです。

従業員の健康を守る」という意識が大切になってきます。

 

平成30年3月には厚生労働省より

職域におけるがん検診に関するマニュアル」が公開されました。

 

この資料のなかでは、

胃がん検診・子宮頸がん検診・肺がん検診・乳がん検診・大腸がん検診

が挙げられており、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」で挙げられているものと同じ項目となっています。

 

がん検診の受診を従業員個人に任せきりにするのではなく、

職場のなかでも管理していくことが求められているといえるでしょう。

 

対象となる従業員の名簿を作成し、過去の受診歴なども正しく記録し、

職場内で適切に管理を行うことが求められています。

 

「がん検診」の制度化は、企業が取り組むべき課題といえるのです。

 

がんについての正しい知識を蓄え、がんについての誤解をなくす

がんは、「早期発見」と「早期治療」がポイントです。

早い段階で異変を見つけるためには、定期的な検診が欠かせません。

 

厚生労働省では「がん対策推進企業アクション」を打ち出しており、

「がんを正しく知ることで、がん検診の受診率は上がる」と述べています。

 

実際のデータからも、「がんについての正しい知識を備えている人ほど、

検診受診率が高い」ということが示されているようです。

「正しく怖がる」とはまさにこのことですね。

 

日本と同様に海外においても、

「がん治療と仕事」の両立は大きな課題となっています。

 

オーストラリアにあるCancer Councilという団体では、

「がんに関する神話と事実」という大変興味深い資料が公開しています。

 

一般的に信じられているような内容を「神話(myth)」として紹介し、

それを根拠に基づき否定しています。

ここで挙げられていた内容の一部を訳してご紹介します。

 

Cancer Council

 

【がんに関する神話(≒誤解)】(※筆者訳)

  • がんの有効な治療はない
  • がん診断は死刑宣告である
  • がんの手術は体中にがんを広げてしまうきっかけとなる
  • 放射線治療を受けている人は、職場で放射性物質を発している
  • がんは伝染病である
  • がんに罹患した人は働くには具合が悪すぎる(≒働けないほど具合が悪い)
  • ケガをすると、そこからがんが発生する
  • がんを予防する手立てはどこにもない
  • 楽観的に考えることががんの治療となる

“Cancer myths and facts” by Cancer Council

 

 

医療先進国とされているようなオーストラリアにおいても、

このような神話(≒誤解)があることに驚かされます。

 

しかし一方で、

「正しく知らないからこそ怖い」ということもあるのかもしれません。

 

がんを正しく理解し、両立支援を加速させる

がん治療と仕事の両立がしやすい職場をつくるためには、

企業内でも「がん」について正しく学ぶ機会を設け、

「がん検診」の必要性を従業員に理解してもらう必要があります。

 

がんを早期発見・早期治療を可能にするためには、

「がん検診」の定期的な受診が必要不可欠です。

「がん検診」を制度化することや、社内全体でがんに関する

正しい知識を蓄えられるようなワークショップを開催することも、

両立支援を進めていくための第一歩となることでしょう。

 

企業の取り組み事例

 

東京都では、職域連携がん対策支援事業において

がん患者の治療と仕事の両立への優良な取り組みを行う企業表彰

を平成26年から29年まで実施しており、

その企業の取り組み事例が紹介されています。

 

がん検診や正しい知識の啓発活動やマニュアル作りなど

中小企業の事例も多数含まれています。

取り組みを始める最初の一歩として参考になるでしょう。

 

 

 

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